無線界では不明瞭な部分や聞き間違いやすい部分を決められた通話表と置き換えて通信相手に伝えます。
アルファベットを伝える「欧文通話表」と日本語を伝える「和文通話表」が在ります。
1.欧文通話表(フォネテックコード)
2.和文通話表
アマチュア無線では2種類の通話表を使って交信します。
使われ方
アマチュア無線でも例外ではなく交信には通話表を使用します。
FMやSSBにて音声交信を行う場合、通話表を使うことで聞こえずらい時に威力を発揮します。
日本では航空通信や海上通信でプロが使用している通話表を参考にしています。
プロの世界ではアルファベットは「NATOフォネティックコード」を使用し、日本語を送るためには「和文通話表」が定められています。
アマチュア無線だからと言って好き勝手に通話表を作って通信を行うと正しく伝えら得ない場合が起こりえますのでなるべく統一された通話表を使用します。
NATOフォネティックコード
基本は「NATOフォネティックコード」を使用しますが通信状態が悪い場合でノイズや混信で認識されない時は分かりやすい地名や人名を送ったりします。
アマチュア無線ではプロ(航空業務、海上業務)ではないので臨機応変に対応します。
通信状態が良好な場合はなるべく「NATOフォネティックコード」を使用します。
発音の太文字はアクセントです。
文字 | 語 | 発音 | 代用される物 |
A | ALFA | アルファ | アメリカ |
B | BRAVO | ブラヴォウ | ボストン、ベータ |
C | CHARLIE | チャーリ シァーリ |
カナダ |
D | DELTA | デルタ | デンマーク |
E | ECHO | エコウ | イングランド、エドワード |
F | FOXTROT | フォクストロット | フロリダ |
G | GOLF | ゴルフ | ジャーマニィー |
H | HOTEL | ホウテル | ホノルル、ハワイ |
I | INDIA | インディア | イタリー |
J | JULIETT | ジューリエット | ジャパン、ジャック |
K | KIRO | キーロウ | ケンタッキー、キング |
L | LIMA | リーマ | ロンドン |
M | MIKE | マイク | メキシコ、メアリー |
N | NOVEMBER | ノヴェムバ | ナンシー |
O | OSCAR | オスカ | オーシャン |
P | PAPA | パパ | ピーター |
Q | QUEBEC | ケベック | クイーン |
R | ROMEO | ロウミオウ | ロバート、ラジオ |
S | SIERRA | シエラ | サンチャゴ、シュガー |
T | TANGO | タンゴ | トウキョウ |
U | UNIFORM | ユーニフォーム ウーニフォーム |
アンクル |
V | VICTOR | ヴィクタ | ビクトリー |
W | WHISKEY | ウィスキ | ワシントン |
X | X-RAY | エクス レイ | ー |
Y | YANKEE | ヤンキ | ヨコハマ |
Z | ZULE | ズールー | ゼブラ、ザンジバル |
欧文通話表(フォネテックコード)使い方
コールサインを相手に伝える時の話し方はフォネテックコードで伝えます。
アルファベットを一文字ずつ区切って伝える場合は基本フォネテックコードを使います。
発音が似ていて間違いやすいのが
「BとE」「BとD」「BとG」「DとE」「MとN」「TとE」「TとP」「Qと9」「YとI」
などが有りますので間違いやすい部分はフォネティックコードで必ず伝えます。
コールサイン言い方
相手が了解(コピー)したなら次からはフォネティックコードで送る必要はありません。
「JA1QRZ」は
ジューリエット・アルファ・ワン・ケベック・ロウミオウ・ズールー JA1QRZです。
「東京」 は
タンゴ・オスカ・キーロウ・ヤンキ・オスカ のTOKYOです。
例えばコールサインJA1QRZの最後のZが伝わらない場合は
「ズールー・ズールー・ゼブラ・ゼブラ・ズールーですどうぞ」などと送ります。
コールサイン読み方
相手局からもコールサインがフォネティックコードで送られてきます。
フォネティックコードで相手に送り返して了解(コピー)した事を伝えます。
ジューリエット・エコウ・ワン・シエラ・オスカ・シエラ JE1SOS 了解です。
例えばコールサインJA1SOSのOが聞き取れない場合は
「オスカ・オスカ・オスカ・オーシャン・オーシャン ですか?」などと送ります。
独自コード
「NATOフォネティックコード」にはアクセントが有りますので独自に作成されたコードだと不明な部分が出てきます。
このアクセントはネイティブ圏以外でも通じるように工夫されているためです。
例えば「Yをヨーク」で送っているが「ニューヨークのN」と取られるなどです。
将来、海上業務や航空業務のプロ資格を目指している方は独自のコードは使用しない方が良いです。
必ず「NATOフォネティックコード」を使用しなければいけませんので変に癖がついて思わず出てしまうと相手が???となって聞き返してきます。
長く無線をやっていると面白いフォネティックコードで送ってくる方がいます。
意味は通じないことも無いですが聞き直しが発生して2度手間、3度手間です。
・Dをドラゴン 不意を突かれると??となって次の文字を落としますが。。。
・Yを港のヨーコ MですかYですかと聞きなおしましたが。。。
和文通話表
名前は和文通話表で伝えます。
ア | 朝日のア | イ | いろはのイ | ウ | 上野のウ | エ | 英語のエ | オ | 大阪のオ |
カ | 為替のカ | キ | 切手のキ | ク | クラブのク | ケ | 景色のケ | コ | 子供のコ |
サ | 桜のサ | シ | 新聞のシ | ス | すずめのス | セ | 世界のセ | ソ | そろばんのソ |
タ | 煙草のタ | チ | ちどりのチ | ツ | つるかめのツ | テ | 手紙のテ | ト | 東京のト |
ナ | 名古屋のナ | ニ | 日本のニ | ヌ | 沼津のヌ | ネ | ねずみのネ | ノ | 野原のノ |
ハ | はがきのハ | ヒ | 飛行機のヒ | フ | 富士山のフ | ヘ | 平和のヘ | ホ | 保健のホ |
マ | マッチのマ | ミ | 三笠のミ | ム | 無線のム | メ | 明治のメ | モ | もみじのモ |
ヤ | 大和のヤ | ユ | 弓矢のユ | ヨ | 吉野のヨ | ||||
ラ | ラジオのラ | リ | りんごのリ | ル | るすいのル | レ | れんげのレ | ロ | ローマのロ |
ワ | わらびのワ | ヰ | ゐどのヰ | ヱ | かぎのあるヱ | ヲ | 尾張のヲ | ||
ン | おしまいのン | ゛ | 濁点 | ゜ | 半濁点 |
名前を送る時
相手が了解したなら次からは通話表で送る必要はありません。
「田中」は タバコのタ・名古屋のナ・為替のカ でタナカです。
「鈴木」は すずめス・スズメのスに濁点・切手のキ でスズキです。
数字を送る時
「1と7」「Qと9」が間違いやすいので通話表に沿って送ります。
一 | 数字のひと | 二 | 数字のに | 三 | 数字のさん | 四 | 数字のよん | 五 | 数字のご |
六 | 数字のろく | 七 | 数字のなな | 八 | 数字のはち | 九 | 数字のきゅう | 〇 | 数字のまる |
「0123」は
数字のまる・数字のひと・数字のに・数字のさん で まる・ひと・に・さん です。
「6479」は
数字のろく・数字のよん・数字のなな・数字のきゅう で ろく・よん・なな・きゅう です。
私が良く言い間違うのがタと数字のにです。
変に覚えてしまって無意識に「田んぼのタ」と「数字のフタ」と言ってしまいます。
ヲは「終わりのヲ」ではなく「尾張のヲ」なのでアクセントが違います。多分?
航空用語
通話表では無いですが最近アマチュア無線でも、航空通信で使われている用語を聞くことが有ります。
肯定を「アファーム」、否定を「ネガティブ」です。
航空業務の通信ではYES、NO、OK、NGが各国で意味の違い(捉え方の違い)から事故防止の為、肯定、否定の意思表示が世界で統一されています。
ついでに「了解」はアマチュア無線では内容を理解したと捉えられますが航空業界では「了解」は通信内容を理解した意味では無いです。
理解した事の意思表示は、復唱して相手に伝えます。
フォネティックコードの腕試しとして航空特殊無線技士を受験してみてはどうでしょうか?
まとめ
アマチュア無線でも不明瞭な部分を明確に伝わる様に「NATOフォネティックコード」や「和文通話表」をなるべく使用します。
独自の通話表で送るとせっかく分かりやすく送っているつもりでも、間違って伝わってしまう事や聞き返しなどの再確認が発生して効率が悪いです。
統一されている通話表を使うことで通信状態が悪い場合やノイズの中送られて来ているのがある程度予想出来るようになります。
アマチュア無線ですので慌てて間違ったコードを送っても問題ないので練習して覚えていくと良いと思います。
私生活の中でも伝わりにくい時に役立ちますので実際の交信で使用して慣れて下さい。